まったく、近頃の若い者は!since1954
1950年代後半の話
大学の備品を燃やしてファイアストーム
(31佐藤さん 『昭和十三年 早生まれ』より)
広大の校庭の隅に椅子や机が山積みになっていた。脚が4本揃ってなかったりして、どれも壊れていた。邪魔になるだけのものだから、これを片付けて上げれば、大学のためにもなるだろうと私達は考えた。それで私達の「広大天文学会」ではその夜「ファイアストーム」をして、全部燃やしてしまった。
ところが、それらはまだ償却処分の手続きが済んでいなかったのだ。つまり、大学の台帳には厳然と存在している備品だったのだ。村上先生は「せめて備品番号だけでも残して置いてくれたらよかったのに」と嘆かれた。結局、村上先生が学生の監督不十分ということで、大学に始末書を出された。
天文研究室の合鍵を大量生産
(31佐藤さん 『昭和十三年 早生まれ』より)
「広大天文学会」には部室がなかったので、村上先生の研究室を使わせていただいていた。研究室の鍵は守衛室にあずけてあり、学生はそれを借りて自由に出入りしていた。
ところが、いちいち守衛室に行くのは面倒だと言い出す者かおり、金属工作の得意な学生が合鍵を作って会員に配った。その合鍵を落とした者かおり、その鍵が守衛所に届けられた。 という次第で合鍵の存在がバレ、この度も村上先生の始末書と言うことになった。
私達は村上先生にこのようにご迷惑を掛け、お世話になった。
1970年代後半の話
ヒョウタンから駒が出た話
(51小林)
ドームや暗室内で、私はしばしば電気をショートさせた。すると、ブレーカーがとぶが、建物すべてが停電するわけではなかった。たとえばBOX下のエレベーターは動くけれど、その中の照明は消える、といった風であった。
ある夜のこと、暗室の引き伸ばし機のランプカバーを持ち上げようとしたところ、部屋の明かりがスウーっと消えた。電線が古くて、ちょっと動かしただけでショートとしてしまったのだ。実は先週も、25pの微動装置のコントローラーでショートを起こして学務係へ謝りに行ったばかりである。
これらは老朽品で、誰がさわっても、すぐにショートを起こしたはずだが、よりによって私ばかりが毎回犯人になる。ついていないときは、人間どこまでもついていないものである。深夜だったのでどうすることもできず、その日はそのまま帰宅した。
翌日、1限目がなかったのでゆっくり登校すると、エレベーター内が暗い。「しまった、そういえば」と思って学務係に謝りに行くと「早く知らせてくれないと!どこがショートしているか分るまで、危なくて復旧できないではないか!」と大目玉であった。教官室や授業にも影響が出ていたのであろう。「だいたいお前はなっとらん!」と先輩にも叱られた。
あまりにショート事件が続くので(犯人はみな私だ)、学務係が天文研のBOXを家宅捜査にやってきた。実はBOXは、屋上への出入口のスペースを先輩方が勝手に占拠してBOXとして既成事実化したものであったから、場合によってはBOXを召し上げられるおそれもあった。大ピンチである。
事務室の人たちはBOXをあちこちチェックして、壁の蛍光灯からぶら下がっているコンセントを発見した。それはクラブの誰かが勝手に蛍光灯から引っ張り出した電線であった。
「なんだ、これは!こんなことをしてあるぞ!危ないことを・・・。」
この危険なコンセントを使って、電熱器で餅を焼いたり、電気ストーブで暖まったりしていたのである。BOXは没収されるかもしれない。万事休す、である。
数日後、予想に反して、本職によってしっかりしたコンセントが蛍光灯の下に設置された。これは、学務係がこのスペースを天文研のBOXとして認め、安全に使いなさいとお墨付きを与えてくれたようなものであった。
不法占拠したころを知っている先輩は、「ヒョウタンから駒が出た」と喜んだ。