ベイリービーズを狙え!
金環日食は、金環帯の中心線にいくほど、継続時間も長くなり、月が太陽のど真ん中に入って、きれいな環になります。
中心線から離れるほど、太陽と月の中心がずれ、環は片側が厚く、もう一方が薄い偏った形になりますし、継続時間も
短くなります。
ただ、中心線から離れるほどに、ベイリービーズは、長い時間見られるようになり、金環食帯の境界ぎりぎりのあたりに
なると、月がずっと、太陽の縁をかすめながら動くため、その部分に沿って、まるで太陽の縁を回るようにベイリービーズが
長時間見られるのだそうです。
今回は、その中間あたりでの撮影となったため、ベイリービーズはごく限られた短い時間しか見られないと予想されました。
デジタルカメラで撮影すれば、後の処理が大いに楽なのですが、デジタルは他の撮影に振り向けられてしまいましたので、
やむを得ず、今回は銀塩フィルムのカメラを使ってベイリービーズ撮影に挑戦することにしました。
銀塩フィルムは最大で36枚しか撮影できませんから、ベイリービーズの見える瞬間だけを狙い、自動巻き上げ機構によって
写せるだけのコマ数を写そうという計画です。巻き上げ能力(連続撮影)は1秒に2〜3コマ程度ですから、ベイリービーズの
前後数秒間、シャッターを切り続けてもおそらく十数コマ。第二接触と第三接触あわせて36枚撮り1本をほぼ写し終える
だろうという計算でした。
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撮影コマ数は、ほぼ計画どおりで、ベイリービーズのあいだ中、シャッターを切り続けることが出来ました。
出来るだけ、露光を大目にしたつもりでしたが結果を見る限り、ベイリービーズを賑々しく写すには、もっと露出をかけなくてはいけないようです。
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フイルムで写したものを、合成してアニメーションにするには、デジタル化が必要です。20世紀に購入した高級フィルムスキャナーは
21世紀のパソコンシステムでは動かすことが出来ず、仕方なくホームセンターで売り出しの数千円のフィルムスキャナーを入手して
デジタル化を計りました。お値段の割にはまあまあのデジタル化が出来ました。
36コマすべてをフルサイズで合成すると、データが大きくなりすぎるので、ベイリービーズの部分だけをトリミングしてアニメ化してみました。
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第2接触
ミザール6.8p屈折 f=600o、(口径を4センチにしぼる) ×2テレプラス、
バーダープラネタリウム社製ソーラーフィルター 露出倍数10万倍使用、
画面上が天の北
CanonEosKiss 連写モードで17コマ連続撮影、
FUJIFILM SUPERIR PREMIUM400、シャッタースピード1/45
トリミング
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第2接触、自分は望遠鏡を使って眼視で見ながら、シャッターを着るタイミングを計っていました。相当美しいものを見ていた
はずなのですが、何を見て、何を思っていたのか、全く記憶がありません。かなり興奮し、冷静さを失っていたようです。
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第3接触
光学系・カメラ・方角・フィルム等は第2接触と同じ。
連写モードで19コマ連続撮影
シャッタースピードは1/60
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第3接触は、比較的冷静に見ることが出来たのか、記憶が残っています。
横で、ビデオモニターで見ていた52-Mさんが、「金環が終わった」と言った時、望遠鏡の視野ではまだ金環は続いていました。
まもなく第3接触、環が切れ始めました。
完全に環が切れ、もうベイリービーズも見えないだろうと思った時、上記アニメでは下側になる、太陽の細い部分が1箇所、ピカ〜っと
明るさを増しました。(アニメではあまり分からないかも知れませんが、直焦点の写真でも写っているので、実際にそうなったの
だと思います)これも月の地形と関係があるのではないかと思いますが、感動的な瞬間でした。
第3接触では、第2接触よりもシャッタースピードを若干速くしました(1/45→1/60)が、その差はわずかなので、写りに大きな違いは
ないようです。
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フィルムスキャナーは、ネガの上やステージ上のゴミもしっかり写ってしまいます。かなりクリーニングしたのですが、それでも相当写り込み
ました。レタッチソフトでかなり修正して、ゴミを消してあります。
また、フィルムは6コマ分をガイドに挟んでスキャナーに送り込んで、順にスキャンするのですが、どうしても各コマの平行性を保てず、
画像の方向が一定になりません。これもレタッチソフトでかなり修正してあります。
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