光度測定結果(グラフ)


 物事の変化を見るには、数字を表にするよりグラフを描いた方がわかりやすいと、習った記憶があります。
ということで、SN2014Jの光度変化をグラフにしてみる事にしました。

グラフを書くのは大変だ!

 表計算ソフトEXEL、普段からお仕事でもよく使わせてもらっています。ご存じの通り、このソフトには、
表からグラフを作ってくれる機能があるのでが、私が普段やるのは合計や平均を出す程度の作業。
EXELでグラフを書くなんて、その昔、パソコンが普及し始めたころに、1度か2度『1週間で使えるEXEL』
とか何とか言う本を読んで、例題をやってみた程度。実用に使った事などありません。

 このたびSN2014Jの光度変化をグラフにするに当たって、やはりここは華麗にEXELを使って・・・と
思ったのですが、さあ、これが私にとっては大変なこと。何から手を付けて良いやら分かりません。
ならいっそ、手書きのグラフを作ろうかとも思いましたが、私の下手な字では見苦しいこと
おびただしい・・・。幸いネット上に、動画で指導してくれる解説ページを発見し、それと首っ引きで
なんとか電子データでグラフを作る事が出来ました。そうは言っても、いろいろ分からない事だらけなので
思うようなグラフになっていない部分もありますが、とりあえずという事で・・・。

 最初っから言い訳になってしまいました。グラフ作成機能をよくご存じの方が見たら、噴飯物だと思いますが、
まあ、広い心でおつきあい下さいませ。

グラフ@

 1月25日、最初に撮影してから、6月末までの光度変化をプロットしたものです。




 光度の数値は、「SN2014J 光度測定結果(日々の記録)」のページに出したものと同じです。すなわち、その日に写した
数枚〜十数枚の画像を使って光度を測定し、その最大値・最小値を除いて平均したものです。

 多少のバラツキはありますが、まあまあ、きれいな流れの中に並んでいるのではないかと思います。「等級」という
指標(目盛り)でグラフを書けば、光度のピークを越えた後は、直線的に並んでいる感じです。このグラフを見る限りは、
超新星の減光は直線的で、「急激にストンと減光したり、減光ペースが緩やかになる事はない」と言えそうです。
それでも、暗くなるにつれて、富士山の裾野みたいに、傾斜が「やや」緩やかになっているかな? あくまで、この
グラフの範囲を見た感想でした。

 素人考えでは、「ルクス」とか、「カンデラ」とか、そういった別の明るさの指標も使えるようにも思いますが、そうすると
このグラフはどんな形になるのでしょうか。等級という指標は対数的表現である事と考え合わせると、数学的にはどう評価したら
よいのでしょうか?(ワシには分からん・・・)

 減光直線(?)の傾きは、グラフの横の目盛りの幅をどうとるかで、急にもなるし緩やかにもなるので、この減光のペースが
どうなのかというような事は、このグラフだけでは何とも言えません。

 そうか!こういうことは他の超新星の減光ペースと比較して、初めて評価できる事なのですね。比較対象がないと、
評価のしようがないのですな。(天文学者の皆さんは、当然そういうデータをお持ちなのでしょう。)

 さて、一方の、増光部分です。仕方がない事ですが超新星はピ−ク近くならなければ発見されないので、、爆発の始まりから
ピークに至る光度変化の大部分は分からないと言う事になります。それが分かると、きっと面白いですよね。
超新星「爆発」なんだから、おそらく、相当に急激な光度変化で、グラフは垂直に近い線になるのではないかと思います。

グラフ@から言えること
 ・爆発からピークまでの光度変化を知るのは難しいが興味あるテーマである。
 ・ピークから後の数ヶ月の減光は、「等級」という指標を用いた場合直線的である。
 ・SN2014Jの特性を知るには、他の超新星の光度変化グラフと比較する必要がある。

う〜ん、なんだか、中学校の夏休みの自由研究みたいになってきました・・・。


グラフA



グラフ@のピーク部分だけを拡大したものです。




 減光してゆく時は直線的に見えましたが、ピークの前後付近は2次曲線、放物線状に感じられます。そして頂点となる
部分があるようです。

 1時間毎に、あるいは30分ごとに光度を測定していったら、もっと滑らかなグラフになりますから、光度変化曲線がもっと
緻密に描けることになります。世界各地で、たくさんの目で観測する事が望まれるわけです。

 グラフAを見るかぎり、最大の輝きが長い時間継続するという事はないようで、明るさのピークに達した超新星は、
すぐに減光に転じたようです。また、ピークは一回だけです。複数回はありません。ということは、爆発は大きいやつが
一回だと言う事になります。何回も爆発することは、無かったようです。



 しかし、ポコッと抜け落ちた2月6日〜20日のデータ、欲しかったですね。おいしいところが抜け落ちています。返す返すも、
あの大雪は、悔しかったですね。夜に晴れても、機材を出す場所さえなかったんですから・・・。しかも、一日中、いや二日も
三日も雪かきの重労働をさせられて、四十肩(ウソでしょ、五十でしょ)になってしまって、いまだに整骨院通いです。その上、
駐車場を確保しようと、雪を車のバンパーで押しのけたつもりが、そこが完全に凍っていて、バンパーがダメになっちまうし・・・。

 悲惨な日々がよみがえるグラフAではありました。そういえばあの大雪の日は、普段なら1時間ちょっとで帰宅出来るところを、
車の大渋滞に巻き込まれて家まで6時間もかかったぞ!

グラフAから言える事
   ・ピーク付近は2次曲線的、放物線的な光度変化をするのではないか。
   ・光度はピークに達すると、すぐに減光に転じるようである。
                   (ピークは1回だけで、長い期間は続かない。)
   ・出来るだけたくさんのデータを集める事が大切である。
                   (グラフAに限りませんが・・・)


グラフB


 グラフBは、 表現している範囲(日付け)は、グラフAと全く同じです。

 グラフ@・Aを見ると、けっこう理想的なグラフみたいにドットが打たれていますが、本当にそうなのでしょうか?実は・・・。




 グラフ@の初めにも書きましたが、これらグラフ@・Aのドットは、「その日に写した数枚〜十数枚の画像を使って光度を
測定し、その最大値・最小値を除いて平均したもの」
です。要するにいくつかの測光結果の
「平均値」なのです。

 実は、同じ日に、短時間の間に撮った写真でも、光度測定の結果は完全には一致しないのです。バラツキが出ます。
グラフBは、そうしたバラツキを表したグラフです。

 まず、グラフBの見方を説明しましょう。

 グラフBの右端に「◆系列1」とあります。これは、その日の1枚目に写した写真から測定した光度を表しています。
グラフに打たれた◆が、それに該当するという事です。同様に、系列2は2枚目の写真、系列3は3枚目・・・となります。

 写真は、一回につき8枚写す事を基本としましたが、日によっては多かったり、少なかったりします。一応、15枚目までを
このグラフ上に表現してみました。

 1月25日の所を見てください。色々が記号がゴチャッと1月25日の線上に並んでいます。そして、それらは10.9等〜11.1等
ぐらいの、極めて狭い範囲に集中しています。

 これは、その日のどの写真を測定しても、ほぼ同じ値が出たと言う事を意味します。平均を計算すると11.045等と言う事に
なりました。実はこの日は、初日で気合いが入っていて、33枚撮影しました。グラフBにはその半分ほどしか反映していま
せんが、その他の写真の測定結果もだいたい同じ傾向になります。

 次に、1月27日。25日よりもいくらか幅広い分布をしています。それだけ各写真から得られた測定結果にバラツキがあったと
いう事です。

 1月29日、相当なバラツキが出ました。グラフAでは29日は光度ピークの一歩手前の位置にドットがありますが、グラフBを
見ると、29日の最高値(系列10)のドットは、31日のドットの最高値よりも上の数値になっています。と言う事は、写真の
選び方・
処理の仕方によっては、光度のピークは31日ではなくて29日になる可能性もあったという事です。

 グラフ@・Aで打った点は、最高と最低の光度を捨てて平均を計算したものです。極端な数値は誤差を含む可能性が大きい
からです。もし、29日にたまたま雲が多かったりして、写真を1枚しか撮れなかったとしたら、そしてそれが系列10だったならば、
光度のピークの位置は変わった可能性もあったのです。
きれいな線を描くように見えるグラフ@・Aですが、実はこのような
不確定・不安定な要素が潜んでいるのです。


 大雪が除雪されて撮影が再開できた2月21日は、もっとひどいバラツキを見せています。
全期間を通じての最大光度も、
この日に出ています(10.224等級)。ピークは、1月29日でも31日でもなく、この2月21日になった可能性もあった
わけで、
もしそうなれば、一回目のピークを迎えて減光期に入った超新星は、もう一度明るくなったというグラフになったかもしれません。
そうなると、2度目の爆発があったという事になるわけです。




 最高・最低を切り捨てて平均を取るというのは、実は測量の手法をまねたのですが、できあがったグラフを見ると、
なるほど、測定結果のバラツキを押さえ、理想に近い値を導き出すテクニックとして優れているのだな、と感心してしまいます。
ただ、これが絶対に真実の姿を表しているとは言い切れない部分もあり、バラツキの大きい日にはだまされないように気を
付けないといけないと思いました。ピークでない日に、1枚だけとはいえ、最高値が事実として測定されているからです。

 グラフBでは、1月29日と2月21日は、光度測定結果のバラツキが大きいですが、それ以外の日はバラツキが小さく、
まあまあ信用して良い結果になっていると思います。

グラフBから分かる事
   ・写真による天体の測光は、結果に大きなバラツキが出る場合がある。
    ・測定結果のうち最高と最低を切り捨てて平均を取るという手法は、ある程度理想的な結果を
    導いてくれるようである。
   ・しかし、平均をもとに作成された結果だけを、鵜呑みにしては危険である。
    実は、全く別の真実があるのかも知れない。


どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その1(犯人推理編)


 2月21日の測光結果には、2等級に近い幅でバラツキが出ました。変光星の明るさ測定として、2等級も誤差が出るのでは、
いかがなものかと・・・。1等星を3等星だと測光するようなものですから・・・。
 超新星の明るさが短時間にめまぐるしく増減するとは思えないので、バラツキには何か他に原因があるのでしょう。バラツキ、
すなわち標準偏差の大きな測定しかできない測量士さんは、ウデが悪いということになってしまうそうですが、天文の世界では
どうなのでしょうか。

 どうしてこんなに大きなバラツキが出るのか、考えられる要素としては


      
@測定機能(ソフト)の不調
    A人間の側のミス
    B測定に使用した画像に関わる問題


などがあげられるでしょう。(他にもあるかも・・・)

 @「測定機能(ソフト)の不調」は、あまり考えられないでしょう。他の日には大きなバラツキが出ていない事を考えると、ソフトは
しかるべく機能して、愚直に結果をはじき出していると思われます。
 このことについては『どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その「3」(露出時間編)』でも、検証します。


 A「人間の側のミス」について。今回使ったソフトでは、標準星の位置指定・光度入力は、人間の手で行います。それをもとに、
SN2014Jの光度が計算される事になります。

 5〜6個ほどの標準星を指定し、光度を入力する作業を、私のようなずぼらでそそっかしい人間が行うわけですから、
ミスを犯す事は十分に考えられます。もし、そういうミスがあれば、その画像のSN2014Jの光度は極端に明るいか、暗いかの
結果になる事も考えられます。しかし、ミスしなかった画像は、そこそこ似たような光度を示しても良いではないか・・・。
2月21日のデータは、最高値から最低値まで幅広く、しかもまんべんなく分布しています。人為的ミスだけで、こんな分布を
するとは考えにくいと思います。(自分の責任やウデの悪さを棚に上げる事ができました!?)

 おっと、人間の起こすバラツキ要因としてもう一つ、写真の撮り方が有るかも知れません。写真をうまく撮れるかどうかは、
当然測定に使う写真の質にも影響してくることでしょう。このことは、『どうして大きなバラツキが出るのかという問題 
その「4」(撮影技術編)』
でも、検証します。

 B「測定に使用した画像に関わる問題」は、バラツキと大いに関係があるのではないかと思います。私はずぼらな人間なので、
観測した日の空の状況などをしっかり記録していません。この日の空はどんなであったか、記憶ももう無くなっていますが、
幸い、写真をパソコンで整理する際にデータフォルダにちょこっとメモを付けていました。

 それによれば、この日2月21日は、
「通過雲あり」となっています。こいつが怪しい・・・。測光に使用するのは、
焦点距離530oの、いわば超望遠レンズで写した画象の、さらに数パーセントほどの、ごくごく狭いエリアです。ざっと
見積もって40′×30′くらいの範囲です。(M82の視直径は9′×4′なので、そこから推測)こんな狭い範囲ですが、
濃淡の違う薄い雲が漂っていて、微妙に星々の明るさを変えているのではないか・・・。

 2月21日の画像を確認すると、確かにベールのような雲がかかったり晴れたりしています。



       犯人は、こいつに違いない!(アニメ)

どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その2(空の状態編)

 ちなみに、同じ日の画像を測定した結果が1等級以上の幅でバラツキのある日は、今述べた2月21日を含めて、10日ほど
ありました。表にまとめますと以下のようになりました。

  測定光度に1等級以上のバラツキが出た日一覧

日付 測定光度の幅 備考
2月21日 10.224等〜12.035等  通過雲あり
3月11日 11.022等〜12.208 等  月明かりと雲 多段階露光
3月16日 12.077等〜13.269等  月明かり 多段階露光
3月17日 11.964等〜13.906等  月明かり&雲。 ピント甘い。条件最悪
4月 9日 12.553等〜13.686等  月明かり 多段階露光
5月13日 13.524等〜15.276等  月明。光度も下がり、短い露光では写らない 多段階露光
5月16日 13.592 等〜14.627等  月明かり。雲の通過あり。 多段階露光
5月31日 13.093等〜14.136等  
6月13日 14.960等〜16.113等  月明かり
6月29日 14.062等〜15.453等  


 備考にあるように、これらはほとんど、雲か月明かりで撮影条件が悪かったというメモがついています。同じように、
雲か月明かりで撮影条件が悪かったというメモの付いた日が他にも5日ほどありました。これらは光度のバラツキが
1等以内に収まってはいますが、撮影条件の悪い日は、概して測光結果にバラツキが出るという事は言えそうです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 3月17日は、月に雲にピンぼけと最悪状態。でも、ピントの良い物だけを選んで測定した結果は、前後の日と比較しても
まあまあ理想的な光度(12.540等)になりましたので、ズルをして、その値をグラフ@にしています。もし全部の画像の
測定結果を用いたならば、この日(3月17日)だけ、減光直線から大きく外れた、異状に暗い光度(13.195等)となります。
(下の表参照)

 3月17日前後の光度変化

全画像を使って測定したものの平均 ピントの良いものだけで測定
3月16日 12.409等 -
3月17日 13.195等 12.540等
3月23日 12.464等 -


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 また、上記表には有りませんが、4月25日の写真群はみんな、どういうわけか、測定結果が非常に明るく出ました
(グラフ@参照)。SN2014Jに限らず、画像内の他の星を測定してみても、やはり、明るい測定結果が出ました。
この日は月もなく、雲も無かったようです。ただ、見栄えの良い画像を求めて多段階に露光を変えていますので、
あまり透明度は良くなかったようです。測定光度は12.512等〜13.506等と、ギリギリ1等級以内に収まりましたが、
前後の日と比較すると、最も暗く判定した13.506等あたりが最も妥当な光度かと思えます。

 どうしてこんなに明るく出るのかと不思議に思って、何回かやり直しましたが、同じ傾向でした。画像内の、明るさが
分かっている恒星を測ってみると、その星の本来の値より明るく出ました。(実は、他の日の画像でこれをやると、暗めに
出ることがほとんどなのです。)
 どうしてこの日だけ、こんなに明るく測定されたのか、この理由は、ちと分かりません。この日の結果だけは、特異でした。

  4月25日前後の測定結果

全画像を使って測定したものの平均 各画像の測光結果(光度順) 備考
4月24日 13.504等 - -
4月25日 12.909等 12.512 12.532 12.723 12.862 12.869
12.913 12.998 13.168 13.195 13.506
多段階に露光
4月27日 13.415等 - -


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 グラフ@を見ていただくと、3月中旬以降、次第にドットが分布直線からバラツキくようになってきますが、これらも、高度が
低くなった事や春霞など、撮影条件の悪化の影響が出ているのではないかと考えられます。


どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その3(露出時間編)

 もう一つ、測定結果のバラツク原因とならないか調べてみないといけないのは、露出時間の差です。

 月明かりのある日は、写真がカブってしまうので、露光時間を変えて何段階にも撮影しています。当初は光度測定をする
事よりも、見栄えのする写真を撮る事に主眼がありましたので、色々にとって、星雲と超新星がうまく写るコマがゲット
出来れば、と考えていたのです。この多段階露光は、測定光度のバラツキに影響しないだろうか・・・。

 もし、露出の差が、光度測定の差となって現れるなら、露出時間を何段階にも変えて写した日は、バラツキが出る事に
なるわけです。画像個々の光度測定は、その画像の中で完結しますから、もし露出の差が、光度測定の差となって
現れるなら、それはソフトの問題ともなるわけです。

 測定結果に1等級以上の差が出た日について、光度の順になるようにデータを並べ替えたのが、次の表です。

2月21日 3月11日 3月16日 3月17日 4月9日
測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号
10.224 60 25 11.022 25 35 12.077 50 80 11.964 30 110 12.553 30 7
10.331 60 26 11.16 20 34 12.083 60 82 12.522 30 111 12.563 49 9
10.512 60 24 11.18 55 46 12.295 25 88 13.007 30 108 12.578 59 11
10.722 60 23 11.224 44 42 12.311 35 77 13.093 20 107 12.924 39 8
10.813 60 22 11.402 49 44 12.315 25 89 13.133 20 112 13.148 25 16
11.216 60 18 11.462 39 40 12.327 25 85 13.656 30 105 13.212 25 17
11.348 59 21 11.488 60 48 12.333 40 78 13.758 30 109 13.217 20 6
11.36 60 27 11.499 34 38 12.36 45 79 13.906 20 106 13.389 25 19
11.384 59 29 11.539 15 33 12.372 25 90       13.414 25 15
11.405 60 28 11.549 30 32 12.385 25 87 13.417 25 18
11.471 60 31 11.577 25 31 12.437 25 86 13.518 25 14
11.478 59 20 11.972 34 37 12.809 55 81 13.554 25 13
11.797 60 32 12.009 20 30 12.877 25 84 13.686 24 12
11.993 60 33 12.017 55 45 13.269 24 83      
12.035 60 30 12.048 44 41      
      12.058 49 43
12.075 60 47
12.105 30 36
12.179 39 39
12.208 15 29

5月13日 5月16日 5月30日 6月13日 6月29日
測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号 測定結果 露光 コマ番号
13.524 49 183 13.592 80 203 13.093 120 367 14.96 29 10 14.062 75 23
14.255 49 173 13.594 69 194 13.341 120 371 15.064 39 11 14.482 90 24
14.259 44 175 13.791 59 193 13.585 120 369 15.209 79 9 14.555 60 22
14.394 39 182 13.807 80 201 13.691 89 363 15.489 69 15 14.748 95 25
14.398 29 181 13.822 54 192 13.755 120 368 15.627 49 13 14.755 100 26
14.561 34 176 13.834 79 195 13.82 120 372 16.133 59 14 15.453 105 27
15.201 19 180 13.939 89 196 13.852 120 365            
15.276 29 177 13.947 49 191 13.934 120 370
      14.468 79 197 14.114 105 364
14.627 39 189 14.136 120 366


 3月16日や4月9日など何日かは、、多少、測定光度と露出時間との間に関係性がありそうな気もしないわけではありませんが、
概して測定光度と露光時間との関係は薄いように思われますが、いかがでしょうか?見る人によって、微妙かも知れませんが、
露出時間を変えても、とりあえず、ソフトはきちんと機能して、しかるべき光度を算出していると言えると思います。


どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その4(撮影技術編)

 3月17日は、空の条件が悪い上に、というか空の条件が悪いが故に(また人のせいにして!)、ピント位置がなかなか
つかめず、時間に追われてやむなくピントを少しずつ変えながらの撮影となったように記憶しています。前半の数コマは
星像が五円玉状で、星の真ん中に斜鏡の影が写り込んで居る始末です。最後の3枚ほどはピントがシャープになって
きましたが、3枚では少ないので、ピンボケのやつも光度測定に使ったところ、一連の光度測定の中で最大の測定幅
(1.942等)が出てしまいました。ほとんど2等級の差です。大きな違いです。

   
   3月17日撮影 5円玉状の星・109コマ目(左)と、ピントまずまずの112コマ目(右)


 前半の数枚は月明かり・雲に加えて、ピントの悪さも加わったせいか、非常に暗い測光結果が出ました。後半の、
ピントのあったものだけなら、前後の日と比べてまずまずの結果になったので、その数値をグラフ@に採用しました。

また、今回はチェック出来ませんでしたが、ガイドが悪くて星が伸びてしまったような場合も、星像の伸び具合で測定結果が
変わってくる可能性は有ると思います。

やはり、ピントもガイドもバッチリな写真で測定することが理想といえるようです。


どうして大きなバラツキが出るのかという問題 その5(日々の変化編)

 写真を使った光度測定のバラツキが、日々どの程度出ていたのかをグラフにしてみました。


 グラフが長くなっている日は、測定した最高値と最低値の差が大きい、すなわちバラツキが大きいことを表しています。
青い棒線が無い日は、欠測です。横軸の「月日」は5日ごとに目盛をつけてあります。

上述したように、測定光度のバラツキは、日々の空の状態や撮影技術に大きく影響を受けると思われますので、このグラフから
何らかの周期性などを見て取ることは意味が無いことでしょうが、日によってバラツキがほとんど無い日と、非常にバラツイている
日があることは分かります。

 うんと大ざっぱに言って、透明度が高く、SN2014Jの高度も高かった1・2月は撮影条件が良く、バラツキの少ない日が多いと言える
でしょう。(一部例外:2月21日の雲通過の日を除く)

 バラツキがどのくらいの範囲に収まっているのが良好で精度の良い観測結果なのか、私には分かりませんが、 この、日々の
バラツキのグラフから測光精度の善し悪しを考えた時、バラツキが0.3等級程度の範囲に収まっていれば、安定してまずまずの
結果が出た日、と言ってよろしいでしょうか?(0.3等?甘すぎでしょ!)

 次に、今回のSN2014Jの測光の精度を見てみましょう。


 このグラフは、「一日で撮影した何枚かの写真を光度測定した結果、その最大値と最小値の差が0.1等台に収まった日が
3日間あった、0.2等台に収まった日は6日間であった・・・」というふうに読んで下さい。

 観測日数が少ないので一概には言えませんが、まずまずの精度で測光できた日も多いですが、1等前後のバラツキの出た日も
かなりました。1等級を超えるようなバラツキのある日は、一枚だけの写真から光度を判断すると、そうとうメチャクチャな
データとなってしまう可能性があります。
変光星の光度の見積もりが1等級も違ってしまっては、お話になりません。

その日のデータがどのくらいバラツくかは、やってみないと分からないので、どうしても、何枚もの写真を撮って測定して、
その平均を取らないといけない、と言うことになるわけです。


 
今回のSN2014J測光結果の日ごとのバラツキは、
    最大:1.942等級(3月17日)
    最小:0.126等級(3月3日)
    平均:0.692等級(全41日の平均)
でした。


 誤差論を学ばれた方から見ると、バラツキ・誤差の処理についてもっと良い方法があるかと思いますが、今、私に出来るのは
この程度と言うことで・・・。


考えた事
 ・日によって、光度測定結果が大きくバラツく日とバラツかない日とがある。
 ・撮影条件(空の条件)が悪いと、その写真を用いた光度測定結果に大きなバラツキが出るようだ。
 ・撮影技術(ピント合わせ・ガイド)の良否も光度測定結果に影響を及ぼすようだ。
 ・なるべくたくさんの画像を撮影して、平均を取る事が有効。


総括


 天体写真の撮影は、その行為自体が生き甲斐のようなもので、大変に楽しいのですが、撮影から帰って画像を整理したり
するのはどうも苦手です。ましてや、それらの画像を測定するなど、今までには考えた事もありませんでした。さらにその結果を
表にしたりグラフにしたりするのは、大変根気のいる作業でした。

 かつて、内海先生が研究室で、写真乾板を何かの機械にかけて、測定をしておられた姿が思い出されました。(おそらく
スペクトルの測定をされていたのだと思います。)きっと根気のいる作業だったと思います。

 妻が、根を詰めている(ふりをしている)私を見て、

「何をしているのか」と尋ねますので、

「超新星の光度を測っているんだ」と答えると、

「そんな事をしてどうするのか?」と言います。

「内海先生も、こうして根を詰めて測定をされていた・・・」と言うと、

「内海先生は、お仕事でしょ。あんたのは・・・」と聞かれたので、

「道楽!」と答える他はありませんでした。


 変光星研究も天文学も、やった事のない人間の道楽的素人考察です。中学校の夏休み自由研究レベルに達していれば幸い
なのですが・・・。

 分かった事は、調べる前から想像できた事ばかり。まあ、少しは実証的に確認出来たという事にしておきましょう。
これが科学的態度という物だ(!?)

皆様からのご指導・ご教示・ご批評をいただければ幸いであります。

  
・SN2014Jの爆発はいつ、どのように起こったのか?
  ・減光は、永遠に続くのか、途中で止まるのか?
  ・最後、この星はどんな姿になるのだろうか?


最も興味が湧きそうな部分は、全て地球からは見ることが出来ない部分です。仕方のないこととはいえ、残念ですな・・・。


 全てのデータをホームページに書き込むと、莫大な面積となって見にくくなるため、省略してきましたが、光度変化の詳細は、
エクセルのデータにまとめられています。このページにリンクを張ってダウンロードしていただこうと考えたのですが、残念ながら
今の私のホームページ作成技術では、それが思うように出来ません。(嘆かわしいことです。)

エクセルのデータをご希望の方は、メールにてご請求下さい。
メールアドレスをご存知でない方は、こちらからどうぞ。



@M82に明るい超新星が出現!(最初のページ)へ  A光度測定結果(日々の記録)へ 

「SN2014J」トップへ戻る